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私はしばらく「歴史のミステリー」という週刊誌を担当させていただき、誤字・脱字等に気をつける素読み校正と、
書かれている内容の信頼性を確認する校閲を行っていた。しかし、この雑誌は限られた字数のスペースの中に
歴史の記録が凝縮されており、ほとんどの行で後者の事実調べが必要だった。そのため、校正よりも校閲に意
識も時間もかかる特殊な紙面だったように思う。
その校閲で点検しなければならないこととしては、日付(和暦・西暦の照合や、年号が変わる年の事象について
はどちらの年号を採用するのかを含む)や固有名詞、規模の数字、写真(キャプションとの照合を含む)、引用
文、その書名・著者名などだった。
日付に関しては、近現代のそれははっきりわかるけれど時代が下るにしたがって明確でなくなる。「遺跡に眠る
謎」というシリーズではほとんど古代の歴史を取り上げているだけに、ある事柄の年代について、いくつも年表・
辞典にあたったりネット検索をしても、記されているのと同じ日付を探し出せないことが少なくなかった。
また、写真は「ゲッティイメージズ」からの掲載が多かったのだが、そのサイトで調べても見つかりそうで見つから
ない歯がゆさを覚えたこともあった。
文献中の引用箇所を探していた時には、示されたのとは別の参考文献にそれがあったりしたこともある。
他方、校正の作業では、読んでいてその内容に引き込まれてしまうような中身や、あるいは凄惨な虐殺に関す
る文章の時など、客観的・虚心に校正刷に対することの難しさを感じさせられ、校閲と合わせいろいろな意味で
よい経験をさせていただいたと感謝している。

(尾嵜 紀章さん)

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